生成AIに個人情報を入れたらどうなる?学習に使わせない設定と5つの習慣

設定のトグルスイッチが並んだスマートフォンと、鍵のアイコンのイラスト AIノート

ChatGPTやGeminiなどに、自分の名前や勤務先、体調のことを書いたことはありませんか。

経歴などを話しているうちに、勤務先が分かるほどの情報を伝えてしまうことがあります。周りの看護師にこうした注意点を伝えると、「知らなかった」と言われることも少なくありません。

この記事は、AIのことはよく分からない、という人にも読んでもらえるように書きました。「AIの学習」とは何かという基本から、今日からできる対策まで、順番に説明します。

まず知っておきたい、「生成AI」と「学習」

生成AIとは

ChatGPT(チャットジーピーティー)、Gemini(ジェミニ)、Claude(クロード)など、文章で質問や相談を送ると、文章で答えてくれるAIのことです。スマホのアプリやWebサイトで、無料でも使えます。

AIの「学習」とは

生成AIは、とても多くの文章を読み込み、言葉のつながり方を覚えることで、答えを作れるようになります。これを「学習」と言います。

看護師にたとえると、新人がたくさんの患者さんや事例に触れて、少しずつ判断ができるようになるのに似ています。

大事なのはここからです。サービスによっては、私たちがAIに送った会話も、次のAIをより良くするための材料(学習)に使われることがあります。

看護師は守秘義務があるので、患者さんのことを外で話しません。でもAIの材料になった情報は、私たちがその先の使われ方を確かめることができません。個人情報保護委員会も、入力した個人情報が学習に使われ、ほかの情報と結びついて、正確または不正確な形でAIの答えに出てくるリスクがあると注意を呼びかけています。

図:AIの「学習」とは
図:AIの「学習」とは

「学習に使われない」と「どこにも残らない」は別のこと

もう一つ、よく誤解されるポイントがあります。「学習に使わない設定」にしても、会話がすぐに消えるわけではありません。

多くのサービスでは、学習に使わない設定にしていても、サービスを動かしたり安全を守ったりするために、会話が一定の期間、会社のサーバー(会社側のコンピューター)に保存されます。たとえばGeminiでは72時間、Claudeでは30日です。

つまり、設定は「学習に使われるのを防ぐ」ためのもので、「入れた情報をなかったことにする」ものではない、と覚えておいてください。

AIに入れた情報に、起こりうること

学習に使われることのほかにも、次のようなことが起こりえます。

図:AIに入れた情報に、起こりうること
図:AIに入れた情報に、起こりうること

実際に、こんなことが起きています。

  • Geminiでは、答えの質を上げるために、会話の一部を人が確認しています。人が確認した会話は、自分で履歴を削除しても、最長3年保存されます
  • 2023年3月、ChatGPTの不具合で、一部の利用者の氏名やメールアドレスなどが、ほかの利用者に見えた可能性がありました
  • 2023年には、ChatGPTのログイン情報が10万件以上盗まれて、売られていました
  • 2025年には、会話を人に見せるための「共有リンク」を公開設定にしていたため、約4,500件の会話がGoogle検索に表示されました

一度送った情報は、自分の画面で履歴を消しても、取り消せないことがある。これが、入れる内容を選ぶことが一番の対策になる理由です。

看護師がやりがちな、自分の情報を入れてしまう場面

自分の情報を自分で入れること自体は、法律違反ではありません。ただ、漏れたときに困るのは自分です。しかも、同僚や患者さんの情報が一緒に入っていることも多くあります。

  • 転職の相談や、職務経歴書の添削:氏名、住所、生年月日、勤務先などがまとめて入る。漏れると、なりすましや詐欺に悪用されるおそれがある
  • 職場の人間関係の相談:同僚や上司の名前を、本人の知らないうちに入れている
  • シフト表を写真で読み込ませる:自分と同僚の名前、家を空ける日時が分かってしまう
  • 体調やメンタルの相談:健康に関する情報は、漏れたときの影響が特に大きい
  • レポートやブログの文章づくり:経歴や配属などが少しずつ積み重なり、勤務先が特定されることがある

では、どこまでなら書いていいのか

ここまで読むと、「個人情報を入れないなら、何も相談できないのでは」と思うかもしれません。そんなことはありません。足してよい情報と、足さない方がよい情報を分けて考えます。

図:足してよい情報と、足さない情報
図:足してよい情報と、足さない情報

見分け方は一つです。その情報が「話の中身」に関わるものか、「誰なのかを絞り込む」ものかで判断してください。

たとえば職場の人間関係の相談なら、「意見の食い違いが続いている」「チームは5人」のように、状況の側を具体的にします。相手の名前や勤務先を書く必要はありません。それは話の中身ではなく、誰なのかを絞り込む情報だからです。

やってみよう:学習に使わせない設定

ここからは、今使っているAIで「学習に使わない設定」を確認する方法です。まずは一度、実際に開いてみてください。

設定の前に、2つの言葉を説明しておきます。

  • 👍👎(高評価・低評価のボタン):AIの答えの下に出てくる、「良い」「悪い」を伝えるボタンです
  • フィードバック:AIの答えについての感想や不具合を、会社に送る機能です

このどちらかを使うと、学習に使わない設定にしていても、その会話が会社に送られ、改善に使われたり長く保存されたりすることがあります。押さない、送らない、と覚えておいてください。

以下は、2026年9月時点で各社の公式ヘルプと、パソコンのブラウザ(デスクトップ版)の実際の画面で確認した内容です。スマホアプリでは、表示や場所が少し違うことがあります。

ChatGPTの場合

  • 設定のしかた:「設定」→「データ コントロール」→「モデル改善に協力する」を開き、スイッチをオフにして「実行する」を押す
  • 注意:👍👎などのフィードバックをすると、その会話全体が学習に使われることがあります
ChatGPTの「データ コントロール」画面。「モデル改善に協力する」がオフになっている状態(デスクトップ版の画面・2026年9月撮影)
ChatGPTの「データ コントロール」画面。「モデル改善に協力する」がオフになっている状態(デスクトップ版の画面・2026年9月撮影)

Geminiの場合

  • 設定のしかた:Googleの「Gemini アプリ アクティビティ」のページ(myactivity.google.com/product/gemini)を開き、「アクティビティの保存」の「オン」を押して「オフにする」を選ぶ。すぐ下の「オフにしてアクティビティを削除」は、過去の履歴まで消えるので、間違えないようにしてください。オフにしたあとの会話は、フィードバックを送らない限り学習に使われません
  • 注意:オフにしていても、会話は72時間保存されます。人が確認した会話は、最長3年保存されます。フィードバックを送ると、直近24時間の会話も一緒に送られます。また、オフにすると、Geminiとつないで使う一部のアプリが使えなくなります(オフにするときの確認画面に表示されます)
Googleの「Gemini アプリ アクティビティ」画面。「アクティビティの保存」がオフになっている状態(デスクトップ版の画面・2026年9月撮影)
Googleの「Gemini アプリ アクティビティ」画面。「アクティビティの保存」がオフになっている状態(デスクトップ版の画面・2026年9月撮影)

Claudeの場合

  • 設定のしかた:「設定」→「プライバシー」→「AIモデルの改善にご協力ください」をオフにする。オフなら保存期間は30日です(オンだと5年)
  • 注意:👍👎や不具合報告で送った内容は5年保存されます。利用規約に違反していないかのチェックで引っかかった会話は、最長2年保存されます
Claudeの「プライバシー」設定画面。「AIモデルの改善にご協力ください」がオフになっている状態(デスクトップ版の画面・2026年9月撮影)
Claudeの「プライバシー」設定画面。「AIモデルの改善にご協力ください」がオフになっている状態(デスクトップ版の画面・2026年9月撮影)

設定は大切ですが、サービスの不具合やアカウントの乗っ取りまでは防げません。Googleも公式ヘルプで、「レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないでください」と呼びかけています。

また、個人で設定をしたからといって、仕事で患者さんの情報を入れてよくなるわけではありません。入れてよいかは、病院とサービスの会社との契約などで決まります。看護師は生成AIに患者さんの個人情報を入れていい?

もし入れてしまったら

  1. その会話を削除する。ただし、人が確認した会話などは、会社側に残る場合があります
  2. 共有リンクを作っていたら、削除する。ChatGPTでは「設定」→「データ コントロール」→「共有済みのリンク」から管理できます。すでにほかの人が保存した内容までは消せません
  3. 乗っ取りが心配なときは、パスワードを変え、2段階認証を設定する。2段階認証とは、パスワードに加えて、スマホに届く番号などでも本人かどうかを確認する仕組みです

患者さんの情報を入れてしまった場合は、削除して終わりにせず、すぐに上司と、個人情報の担当部署に報告してください。

まとめ

今日からできる、5つの習慣

  • 名前や勤務先は、「Aさん」「勤務先」などに置き換えてから入れる
  • 写真や画像は、写っているものを確認してから読み込ませる
  • 「学習に使わない設定」を開いて、オフにする
  • 👍👎やフィードバックで、会話を送らない
  • 共有リンクは作らず、アカウントには2段階認証を設定する

AIに詳しくなくても、この5つはすぐに始められます。無料のサービスでもかまいません。まずは生成AIに触れてみて、使いながら「これは個人情報かな」と考える習慣をつけていくことが大切だと思っています。

患者さんの情報を仕事で扱うときの線引きは、こちらにまとめました。看護師は生成AIに患者さんの個人情報を入れていい?

※この記事は一般的な情報をまとめたもので、法的な助言ではありません。各サービスの設定や保存期間は、2026年9月17日に各社の公式ヘルプで確認したものです。仕様は変更されることがあります。

参考にした情報

この記事を書いた人

がみの似顔絵イラストがみ/看護師(臨床8年)
介護職を経て看護師に。消化器内科、循環器内科・ICU、回復期リハビリテーション、長期療養を経験し、現在も臨床で働いています。AIとガジェットを実際に試して、確かめたことを書いています。

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